夜は短し歩けよ乙女/同上
恋愛ファンタジー、このカテゴライズが絶妙だと感じた。
舞台はいつもどおり京都だし、先斗町、下鴨の古本市、学園祭、クリスマス時期、と話が進んでいく。
主人公は相変わらずジョニーをなだめるような主人公だしね。
これは詠み終わったばかりなので、色々とピックアップしようと思う。
まずはおともだちパンチかな。
「親指をひっそりと内に隠して、堅く握ろうにも握られない。そのそっとひそませる親指こそが愛なのです。」
彼女はそう語った。
堅く握った拳には愛がないけれども、おともだちパンチには愛がある。愛に満ちたおともだちパンチを駆使して優雅に世を渡ってこそ、美しく調和のある人生が開けるのです。
この文を読んだ人の大半はとりあえずおともだちパンチの形に利き手を握り締めたことだろう。俺もだ。
現実世界らしく、舞台があるのに、樋口、李白の両名が一気に現実感を失わせてファンタジー臭がするんだなぁ…
古本市の後半とか。
個人的に面白かったのは学園祭のくだり。
こんな学園祭なら楽しいのに、となんど思ったことか。
局長との掛け合いの部分が面白かったり。
「そりゃないよ、友達だろ!?」
「許せ友よ」
私は言った。「彼女がすべてに優先するのだ」
友をも裏切るストーカーっぷり。いいねw
最後はかなりファンタジー臭がし、読み込めずに何度か読み直してしまった。
羽海野チカの解説代わりのイラストが素敵だったね。詭弁踊りの図とかすごくいい。
樋口?がいやにかっこよく描かれているなぁとかも思ったw
そして、何より。カバーイラストに目を落とすとただの雑多な絵ではなく、ストーリーが詰まっていることに気づく。
李白さんの三階建て電車、林檎とだるまを合わせたもの、招き猫(きっと大きいのだろう)、象の尻、天狗のお面、空には緋鯉、ちょうちんに地味に居座るもちぐま。
なかなかお腹いっぱいな一冊でしたw
そんな感じー。