#006F86返

前回→「REVERSUS項 その位置 Triplaneta変

前回に引き続きELECTROCUTICA*1様より「REVERSUS」というアルバムの「#006F86」feat.Luschkaという曲。

前回に引き続き色々と歌詞のモチーフを考えていたら、まとめてって嫁に言われたからエントリにまとめます。考察のようなそうでないような。

※注意
以下に書かれていることは勝手な解釈であり、個人的な意見です。本家様の意向を述べたものではありません。聞き手自身が感じ取ったものこそが真実だと思いますのであくまで参考程度までに。

          • -

まずこの話は人魚姫をモチーフにしたものだと考えられます。なので、ぜひ原著…とまではいきませんが、訳本等を手にとってみることをおすすめします。一応、訳本の内容も解説しつつ話をするつもりですが…

比較的安価で見つけやすいのはこれです。買わずとも近所に大きな図書館があれば見つけられると思われます。

        • -
  • 肢は薄泡で(あしはくうきょで)

まず、人魚姫はそれぞれ1歳ずつ異なる6人姉妹の末っ子として産まれるのですが、姉たちと違って人魚姫には足がありません。それも相まってそんな人魚姫が足を欲するのが空虚なのではないかと思います。

  • 沈む方舟(しずむふね)

海底で暮らしている人魚姫達にとっては地上のことは何をとっても珍しく、皆一様に興味を持っています。彼女らは歳が15になったとき海上に出るお許しをもらえて一人づつ姉らは海上にでられます。そして人魚姫が出られたとき、王子とその船をみかけます。そこではパーティが催されていて、王子の淡麗な容姿に惹かれた人魚姫。一日中見つめていると、嵐が近づいてきて船は帰路につきましたが高波により船が難破してまいます。難破した船から王子を助け、近くの陸地へと運びます。しかし人魚姫は陸地にあがれない、人に見られてはいけない、そのため誰かが助けてくれるのを岩場の陰から見守ります。そうしているうちに鐘が鳴り響き、修道院から出てきた少女が王子を助けます。王子は気づき、少女らに笑みを返しますが、助けた人魚姫にはお礼も返さず、人魚姫は悲しみを抱いたまま海底に戻ります

余談ですが、セイレーン*2が船を沈める、というのは人魚姫の童話中では異なっています。あくまで、嵐で難破するのは自然なことで、嵐の中で歌を歌うだけです。その歌は嵐の音に混じってわかりませんが、大層きれいな声で「海の底は怖いところではありませんよ、恐れる必要はないのですよ」と自分たちの住むところの綺麗さを歌っているだけなのです。引き釣りこむのではなく、海底でどうせ死んでしまうのならせめて不安を取り除いてあげよう、というものなのでしょう。
セイレーンの海の魔物としてのイメージはどちらかというとゲーテの「ファウスト*3」やホメロスの「オデュッセイア」のイメージに由来しているそうです。

人魚姫は王子に恋焦がれる内に、人間が愛おしくなりました。もともと思慮深い性格であり、陸地のもっと先や色々なことをしりたがりました。そして人間との「生」の違いに疑問を持った人魚姫はよく外の話をしてくれていたばあやに訪ねます。
人間はいつまでも生きられるのですか?
「海の底の者は何百年も生きるがいずれ泡になる、しかし人間は短い生ながらも魂というものを持っており朽ちた後は天に昇って地上を見渡せる美しい場所に行くのですよ。
どうして私たちには不死の魂は授からないのでしょう?たった一日でも人間になれてその天国というところにいけるのでしたら、何百年の寿命も惜しくありません。永遠の魂を授かる方法はないのでしょうか?
「私たちは上の世界の者よりもずっと幸せなのになんてことを考えるのでしょう!けれども、人間のうち誰かが両親よりも心より人魚姫を愛して、神の前で右手と右手を重ねて『この世でも、あの世でもいつまでも変わらない愛』を誓ったとき、その人の魂が分けられて人間の幸福に預かることができると言われています。けれど海の底では美しいとされている魚の尻尾も、二本のつっかい棒(足)を大事にする人間にとっては醜いものとされているんだから、そんなことは起こりようがないのですよ。」

二本の足のため、姉と両親の目を盗んで魔女の下へと向かう人魚姫でした。人魚姫の願いを知っている魔女は色々と訪ね、足を得ることがどういう事か教えました。

「二本の足と軽やかな踊りを手にする代わりに、歩くたびに足を鋭いナイフで刺されるような痛みが襲う」
「二度と人魚には戻れず、魂を授からずに王子が他の人と結婚してしまったら明くる日には心臓が破裂して泡になってしまう」
「薬を作るのに大量に血が必要だから相応のお礼として声がほしい」

  • 最初は思い込み でも嬉しくて
  • 勘違い、脅迫、擦れ違いへ

人魚姫は全て了承して薬を飲みました。そして王子に拾われ、その踊りでいつまでもそばにいるようにとことづけられます。日に日に王子は人魚姫が好きになります、しかしそれは可愛い子を愛でるような愛だったのです。しかし王子に結婚をしてもらえなければ不死の魂どころか泡になってしまいます。そんな人魚姫は目で語りかけます。

王子様は誰よりも私がお好きでないの?
「ああ好きだとも、僕によく仕えてくれているし難破した僕を助けてくれた娘さんによく似ている。僕が一番愛しく思うのは彼女一人だ。しかし、彼女は神に一生を捧げた身、その面影を押しのけるほどのお前は神が遣わしたものだ。」
…あぁ王子様は私が助けたことに気づいてらっしゃらないのね。

  • 最初は信頼で(さいしょはおもいこみで) でも嬉しくて
  • 勘違い、盲目、擦れ違いへ

でも彼女はもう世には出てこれないけれど、私はずっと側でお慕いしている、毎日会える!私が王子の世話をしてこの生命も喜んで捧げましょう!
そんな中、王子は隣国の姫と結婚する話がきました。両親の命です。しかし王子は結婚しろと言われたわけではないので会うだけ会って断ってくるよといいます。
「どんな美しい姫であろうと、修道院の彼女、ましてやお前に似ているはずがない。なら愛するわけがない。もし結婚するのなら僕はお前を選ぶよ。」
王子はそういって人魚姫にキスをして、人魚姫と共に隣国へ向かいます。人魚姫は魂と王子をが手に入ることに夢を見ているような気分でした。

隣国についてしばらくしてその姫は姿を見せました。というのも、この姫は修道院で姫としての徳をおさめていたのです

  • 要れ換わる頂点(いれかわるさき)

「ああ僕はなんて幸福なんだ!諦めていた人とこうして再会できるとは!僕のことを一番に思うお前だ、もちろん喜んでくれるね?」

人魚姫は王子の手にキスをしましたが、胸は張り裂けそうでした。明日には心臓が破裂して、泡になってしまうからです。

その日のうちに婚礼を船で挙げ、二人は寝室へと向かいました。その他には舵取りと、甲板に人魚姫だけが残され朝焼けが迫っていきます。

するとそこに5人の姉たちが現れました。皆一様に髪が根元から切られていて、一人の手には短刀が握られていました。
「王子の血を足にかければ元の人魚に戻れるわ!王子を殺してもどってきて!」
人魚姫は短刀を受け取り、寝室へと向かいます。寝ている王子の額にキスをし、短刀を見つめては王子を見つめ、悩んでいると王子は姫の名前を寝言で口にします。その時、短刀が手の中で震え人魚姫はその感情が恐ろしくなり、短刀を捨ててしまいました。

  • 僕は廻す、だから
  • ありがとうはまだ――

王子を殺し⇔自分が人魚に戻る。廻して、自分が泡になり⇔王子は幸せになる。

そして人魚姫は海に飛び込み泡となりましたが、善い行いのため空気の精霊となって天へと登って行きました。

タイトルの「#006F86」ですが、カラーコードでアクアマリンをさします。これには同名の宝石*4があるのをご存知でしょうか?船乗りの間ではお守りとされていましたが、海に沈むと泡となって溶けてしまうそうです。人魚姫の最後も海に飛び込んで…ね?

        • -
  • ストーリー

といってもほとんど人魚姫に順ずる話だと思いますが…上の部分も、ほぼ人魚姫のお話解説に費やしている気も。

ちょっと人魚姫から外れた内容だけ補足していきましょう。

  • 金櫛(きんしつ)は護るものさえ選ばない
  • 霧の宝石(きりのAurum)

この二つは同じ「金の櫛のお守り」かなと。Aurumはラテン語で金ですので。
櫛をお守りにするということは、「縁をほぐす」といった験担ぎもあるようで、ほぐす相手を選ばない、ということですかね。霧も迷いを引き起こすものですし。

  • 紡ぐ、想いの揺籠

揺籠は「」みたいな概念を表している気がします。人魚、セイレーンは歌い手ですし。思いを紡いで「揺籠=」に載せて、歌は誰かに向けて。

  • 正三角形へ(ゆりかごへ)

」と「」と「ら」が誰を指しているかは「REVERSUS」全体通してだと思うので#006F86編ではパスで。でも、誰かに向ける歌は点と点を結び、三つの点があるならそれは三角形、廻る想いを紡いだ三角形こそREVERSUSという歌を届ける揺籠かなというイメージです。

        • -

ということで、誰かのために歌を歌い、それが巡るその全体が大きなメッセージを載せた揺り籠というのを人魚姫に載せて届けた歌なイメージです。

        • -

僕としては童話が好きなのでこういったメッセージ性の強い曲に絡ませているのはすごく好きです。歌詞を見ながら聞いていると、あぁここも、ここも、と関連しているようなことが発見できてこうして書いてて楽しかったですね。もふもふ。

        • -


以上、思いついたものをつらつらとまとめてみました。ご意見等ございましたらコメント欄まで寄せていただければ幸いです。

次はReversusの予定。先は長そうだ…(白目。

そんな感じー。

REVERSUS【旧版生産終了】

REVERSUS【旧版生産終了】