新訳 走れメロス 他四篇/森見登美彦
先日、大好きな先輩から誕生日だから(笑)ってマイミク申請がきた。これ誕生日プレゼントかよwとか思ったけど、まぁいいや。
たまには本の話でも。
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2009/10/15
- メディア: 文庫
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化物語と並行して読んでた本です。化物語はboxに入ってるせいか地下鉄とか、ちょっとした時間にサッと取り出して読むことができないので、文庫も読んでましたです。
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- 帯の煽り文句
あの「名作」が京都の街によみがえる!?」
日本一愉快な(こんな友情もあったのか)青春小説
- 裏書
あの名作が京都の街によみがえる!? 「真の友情」を示すため、古都を全力で逃走する21世紀の大学生[メロス](「走れメロス」)。恋人の助言で書いた小説で一躍人気作家となった男の悲哀(「桜の森の満開の下」)。――馬鹿馬鹿しくも美しい、青春の求道者たちの行き着く末は? 誰もが一度は読んでいる名篇を、新世代を代表する大人気著者が、敬意を込めて全く新しく生まれ変わらせた、日本一愉快な短編集。
解説・神山健治
って感じ。解説は最近では東のエデンの監督ですかね。
基本的には「山月記/中島敦」、「藪の中/芥川龍之介」、「走れメロス/太宰治」、「桜の森の満開の下/坂口安吾」、「百物語/森鴎外」の現代版アレンジです。
作品として「太陽の塔」、「四畳半神話大系」といったコメディタッチに近いアレンジは「走れメロス」くらいで、「きつねの話」のような陰鬱さはないもののシリアスタッチに近いアレンジは他四篇。それでも、「きつねの話」のようにげんなりせずに読みきれましたw
以下、それぞれの感想とハイライト。
この物語の主軸(?)となる齋藤秀太郎についてまず語られる節。未完成の自身の小説を追い求める彼は他四篇にかかわってきますが、時系列的には最後の方なのかな?悩み方や何かに対する絶望は李徴とは違うものの、なるほどといった感じ。
P29l3-11
「もんどりを打って転ぶという言葉があるが、もんどりとは何かわかるか?」
麻雀をしている最中などに斉藤はそういう質問を発して、夏目を面喰らわせた。
「分かりません」
「そんなことも知らんか。モン鳥とは、ラーマヤナにも登場するインドの伝説上の鳥である。これが救いがたく鈍くさい鳥で、じつによく転ぶ」
「それ本当ですか?」
夏目がびっくりして問い返すと、斉藤はけらけらと嘲笑った。
「そんな鳥がいるものか、馬鹿め」
齋藤秀太郎とは、そういう男であった。
- 藪の中
多視点から同じ物語を感じていく、というのはやはり面白いもので、読み手側が試されてる感じもします。同じ話を人から聞くのに、仔細がちがってる感じw
P78l5-11
「虹だ」
俺は言った。
「虹はきらい」
「なぜ」
「怖いから」
「そうかな。みんな虹が出れば喜ぶ」
「なんだか、大きな怪物が空を跨いでいるみたいでしょう」
表題にもなっている走れメロス。友情とは何か、そんな感じ。詭弁論部大活躍。そして、「夜は短し歩けよ乙女」とのリンクもあった。それとも、学園祭の「象の尻」はレギュラーになったのか?でも、達磨があるからやはり偏屈王のときと同じ学園祭かな?w
P119l15-P120l1
怒り狂う長官をよそに、芹名は悠然と珈琲をすすった。
「俺の親友が、そう簡単に約束を守ると思うなよ」
鬱蒼とした雰囲気ですが、短編5篇の中ではお気に入りです。俺もこのような人に出会えたらなにか変わるのだろうか?実は原著を読んだことがないです。読んでみようかな。
P204l6
「君は間違っていない」と男は言いました。「俺が間違っていたのだ」
- 百物語
今作の登場人物一斉登場。なるほど、フィナーレらしい話にまとまってる気がします。ハイライトが難しい…w
この話は時系列的に、桜の森の満開の下中盤にあたるのかな?
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全体通して、面白かったと思う。
原著を読んだ方がきっともっと面白いのかなー?と思うが、浅学非才な俺にそんな教養はなかった。
読みたい人がいたら一声どうぞ。
そんな感じー。